Fiction | 本崎 遥
あなたの言葉は嘘ばかり。
どんなに識者を気取ってみても、底なんて知れているわ。
浅い水溜りで泳げる振りをしてみても、いつも見透かされているのよ。
かっこわるいったらないわ。
嘘をついている自覚も無いんでしょ?
お気の毒さまね。
『僕には言葉を尽くすしか表現する方法が無い。
例えそれが嘘だったとしても、僕の中では一つの真実であり、考え抜いた結果なのだ。
例えそれが嘘だったとしても、その言葉で人を救えるのなら、僕はあえて嘘つきになる』
あなたも差別する人なのね。
自分と他人の差別化なんて、無駄なことはお止めなさい。
どんなにがんばったって、最後にはあきらめちゃうんだから。
みんな知っているわ。
特別な存在になりたいんでしょ?
淋しい人ね。
『僕が僕であるために必要なものが見つからない。
差別化をすることでしか、僕が僕として存在する理由が見つけられない。
結局、僕を表すものは名前しかないのかもしれない』
あなたの恋ってつまらないわ。
分かった振りして、すぐにあきらめちゃうんだもの。
かけ引きが嫌いなんて言っているわりには、色々と手を尽くしているのね。
恋はテンションだって言ったじゃない。
本当にそう思っているの?
言い訳にしか聞こえないわ。
『恋なんてテンションだ。
刺激を欲して、求め合っているだけにすぎない。だから忘れることも嫌いになることもできる。
恋がさめて、その後に残ったもの、それが本当の気持ちなんだと思う』
あなた、また嘘をついたでしょ。
後悔しないなんて口ばっかり、いつもくよくよしているくせに。
精神的弱者の振りをして、強がってみせるのも無様だわ。
人の視線ばかり気にしているくせに。
でも、気になるんだからしょうがないわよね?
ばかじゃないの。
『僕にはいつでも本当の僕が見える。
強くもなく弱くもないあやふやな存在が僕なんだ。感情に振り回されて、自分を律することもできない奇妙な存在なんだ。
でも、自分で自分を騙すことはできる。そうやって嫌な自分を隠すことができる。自分自身を嫌いなまま生きていけるほど、僕は強くはない』
あなたには嫌気がさすわ。
そうやって弱い自分を気取って、いつまでも逃げ続ければいいのよ。
自分だけ痛がって、他人の痛みなんて分かろうともしない。
こうやって駄文を連ねているのもそうね。
同情してほしいんでしょ?
見下げた人ね。