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C・ロッカー | 天羽 均

 いつからか 感じていた音
  圧倒的な至福の響き
 どこからか 聞こえてくる音
  脅迫的な死滅の匂い

鮮やかだった夜の闇、いつもと変わらぬ時が過ぎ去る
狂乱している皮膚の奥、僕はここでひとつになった
「感じるよ、貴方と僕の鼓動の一致」
熱いくらいの水の中、僕は小さくうずくまる

脅えて縮む肉の壁、神秘に満ちた時が流れる
痛みを覚える脳の先、そして僕は不安になった
「聞いてよ、僕の産声」
少し温めの水の中、僕は小さく感じはじめた

 初めから 信じていた音
  絶対的な生命の囁き

瞳に映る未知の世界、朝もやに紛れ赤黒い薔薇
緩み始めた蕾と茎に、欺瞞に満ちた雫が伝う
「感じない、貴方の鼓動」
蝶ではなかった鱗翅目、華には生れず忌み嫌われた

僅かひとつの鼓動の言葉、生きろと告げて貴方が笑った

瞳に映る微笑の底、魔性にのたうつ狂気が見えた
塞いで無くした呼吸の下、心臓仕掛けの嬰児が止まる
「感じてよ、僕の鼓動」
暗くて狭い不快な密室、僕はここで生まれ変わった

 いつまでも 変わらない音
  破壊的な身体の響き
 どこまでも 追い求めた音
  猟奇的な破局の匂い

苛立たしい不快の叫び、優しい音が教えてくれた
怖いくらいの闇の中、僕は静かに生き延びる
「聴かせてよ、貴方の子守歌」
安らぎだった部屋の中、僕のために唄ってくれた

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