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美醜 | 天羽 均

醜怪なるか 人の恋
自己満足を求めつつ 相手の機嫌を取りたがる
感情ださぬを悪となし
つきなみの言葉で世界に浸る
別れのときなど最たるものだ
自分かわいさに人を売り 悲劇のままに終わるをよしとする
しかし 人よ恋せよ
やがてはそれに嘘を見いだし 愛なるものを悟るであろう

美しきかな 愛の道
寛容だけに抱かれゆき 焦がれる胸も人のため
密かにつくす姿だけ 慎ましく夢を見る
たぎる欲望うちなれど 我のためよりも人のため
涙の意味を知りすぎて 悲劇のままに終わりゆく
よく聞け人よ
愛するがゆえに光あり 愛されるがゆえに影がある
愛されるだけでよしとする人はつまらぬものだ
愛することのつらさを知らぬ愚の民だ
気を付けよ 愛されることは狂気を産む

よく聞け人よ
もし 貴方が恋に悩むなら それは愛へとつながっている
もし 貴方が我儘に振舞うなら それは危険をはらんでいる
注意しろ
貴方は愛というものを知っているのだ
もし それに気付くなら 貴方はより苦しむだろう
しかし それで良いのだ
苦しみを知る者は 悩みを知る者 愛を知る者
よく聞け 十代の少年少女よ
貴方らの胸でたぎるものを見つけたならば それは恋だ
そして 貴方の脳で暖かいものを感じたならば それが愛だ
貴方がたはまだ 愛というものをよく知らぬだろう
しかし 心配することはない
貴方がたはようやく 他人というものを意識しだしたところなのだから
愛は寛容 まだ理解しがたいだろう それで良いのだ 理解したときの苦しみを考えれば

醜怪なるか 嫉妬の恋 自分のために狂いだす
美しきかな 寛容の愛 何にも優る美徳となりぬ

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