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罪と罰 | 本崎 遥

通り過ぎる風と澄み渡る空
よく晴れた梅雨のある日
 いつも奇怪な夢をみて、歩き始めることすらできない僕は、
 現状に留まり、環境に甘え、それに気付かぬ振りをして苛立ち喘ぐ。

遠い山にはオレンジ色の太陽
悲しげな君と過ごす夕暮れ
 そんな月日を重ね続け、少しずつ卑劣な人間になりかわり、
 現実をごまかし、精神を鈍化させ、貴方の心象からも目をそらす。

気付いたときには遅すぎて
 離れる貴方を追うこともできず
  飲み込めない現実を、噛み締め僕は、小さく頷く。

見慣れた街にも真新しい緑の芽
静かなうねりを産み出す海
 孤独をかみ締め我に返ると、そこには道標のない荒野が広がり、
 混乱に取り乱し、渇望にうろたえても、自身の居場所が分からない。
 

ああ、これは罪と罰。
我、今まさに、罪人の烙印を押されもがく蝿。
言葉は神に届くことなく、地獄の底で許しを待つのみ。
ああ、終わらぬ罪と罰。
我、今まさに、蜘蛛の糸を切ってしまった罪の人。
一切の救いもなく、この地獄の底に慣れるのを待つだけなのか。
 

たちおおう雲から降りそそぐ雨
水面に映る木漏れ日の朝
 信じるべき自身を見失い、まるで迷子のように彷徨うだけの僕は、
 煩悶を繰り返し、頭に響くあの声を、貴方が残した言葉と希望を胸に刻む。

未だ短い早苗の田圃
優しい君を想う常々
 涙を浮かべて貴方を探し、進むべき道を歩いてみても、
 前を向いても闇、振り返っても闇、ひとつの光を見つけたならば、
 卑屈な僕が姿を現し、これではだめだと嫌悪して、
 不安に怯え、救いを求め、貴方がくれた安らぎを知る。
 

ああ、これは罪と罰。
我、今まさに、罪の毒液滲ませて、己を呪う蟾蜍。
己を信じることをもできず、あらゆる迷いを享受するのみ。
ああ、いつまで罪と罰。
我、今まさに、痩せた体に罪を背負い、砂漠を歩く木偶の坊。
希望と絶望を繰り返し、来るはずのない待ち人を待つ。

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