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狂人 | 天羽 均

飲み込まれそうな月の影
僕の顔を照らしている十六夜
あなたのように儚げで、狂っているのだ

呟いている三日月、涙の数だけ破片をとばして
割れてしまった鏡のよう
彼方で見ている恋人を、その欠片で傷つける

総てを映せ満月、勇気を出して、恥を捨てて
母にもらった命の数だけ、夢を
未来を創っていくのだ

  あなたは僕の恋人、夢幻の中で遊んでくれる
  僕の狂った母、鼓動の中で殺し続けている
  ああ、なんてことだ、僕は狂っている
  ああ、苛立ちがとまらない、僕は狂人だ

大いなる闇の新月、破片だけが知っている
 僕の秘密、黒の戸惑い
世界が狂っている、ただそれだけだ
僕は狂っていない、月が知っている
戸惑いの数だけ赤き血が流れる
 僕の秘密、月は知らない、僕しか知らない

もうやめてくれ半月、嘘と真実を見分けないでくれ
善と悪を共存させているその形体は
何を思い描いているのか
 僕の秘密、白の憂鬱
僕は正常だ、なんら恐れることはない
どんな判断でさえも、僕には無意味なんだ

  ああ、なんてことだ、僕は狂っている
  ああ、自分が信じられない、僕は狂人だ

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