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共鏡 | 本崎 遥

泣きました、いつまでも
変わらぬ想い、朱すぎる月
とめどなく、あふれゆく
恋しい貴方、永久の眠り

  誰のため? 死化粧
 私のためなら針千本
  幾つまで? その命
 五つのときに神隠し

大きな桜の樹の下で、二人寄り添い夢を見る
鮮やかに見せていた、貴方の命の散り始め
冷たい湖水に抱かれて、とても神秘な夢を追う
真実だけが見え隠れ、嘘でもいいから聞かせておくれ

咲きました、春の日に
願うだけなら、楽だけど
落ちました、いじらしく
時を待たずに、佇んで

蘭の花咲く温室で、二人の未来を夢に見る
運命に負けたから、束の間だけの恋煩い
月の雫に冷やされて、ひどく虚ろな夢になる
溢れてくるから涙は嫌い、偽りだけど愛してる

  どうしたの? 歪む声
 私のせいならごめんなさい
  幾つまで? その望み
 叶わないからいつまでも

千の花々狂い咲き、私の夢も瓜二つ
期待して裏切られ、淋しさからの自己陶酔
冷めた視線は辛すぎて、呼吸でさえも夢と散る
踊り続ける枯葉が見えた、偽善と偽悪の入り乱れ

   僕ノ心、鏡世界
    映ッテイルノハ僕一人
   光ノ入ラヌ闇世界
    誰ノ目ニモ映リハシナイ
  血液ガ命ノ先デ渦巻イテ、痛ミトトモニ消エ失セル
   始メルコトノ意味ハ何? 終ワリヲ告ゲル共鏡

  ときめいた? 死の淵で
 私のことは聞かないで
  幾つまで? この景色
 二十年後に会いましょう

薄紅色の梅の花、夢の中から真を伝う
空言に飽きたから、行き先告げて嘯いて
冷えた体に声震わせて、真実さえも夢と知る
涙をのんで木霊と消えた、欺瞞であれば許さない

待ちました、つらい日々
時の流れは、遅すぎて
晴れた日の、昼下がり
薄明かりの月、微笑んで

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