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モノマニアの少年 | 本崎 遥

 ジャコウ猫の汽車に乗り、極彩色の旅に出る
  思い出より多い涙と
    涙より多くのフェイクを握り締めて
   ここよりも遠いところへ、今よりも確かなところへ
 果てなき道を、シベットは走り続ける

僕はエジプトのマリア
 世界の果ては、僕を受け入れてくれるのか?

 愛する人の優しい誘い、「二人きりで旅をしないか」
  澄み切った湖よりも涙に
    涙よりもさざめく海に溺れて
   誰よりも近いあなたへ、己よりいとおしいあなたへ
 身体を離れ、互いの内側へと向かう

 あなたはヌースのペルソナ
  「辛すぎるよ。俺はもう、生きていたくない」
僕はモノマニアの少年
 「わかった、死んでいいよ。僕がついていてやる」

 生まれる前の記憶を思い、ドグマとイデアの旅をする
  カタルシスより涙を
    涙より力への意志を追い求めて
   どこよりも深いところへ、今よりも遥か高次へ
 時間を超えて、ロゴスを探し続ける

 僕はホモ・デメンス
  あらゆる価値観を否定してしまったことがあるか
僕はモノマニアの少年
 検閲された自由なんていらない

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